「自虐の詩」は漫画家・業田良家の伝説級ベストセラー漫画を映画化した作品です。幼い頃から不幸に見舞われ続ける女性の人生を笑いあり、涙ありに仕立て上げたヒューマン・コメディとなっています。「包帯クラブ」の堤幸彦が監督。主人公の幸江に、「嫌われ松子の一生」の中谷美紀。
その内縁の夫で元ヤクザの葉山イサオに「トリック」シリーズ、「大帝の剣」の阿部寛。さらには、遠藤憲一、カルーセル麻紀、竜雷太、名取裕子、西田敏行といった芸達者なキャストたちが脇を支える。
ヒューマンコメディ「自虐の詩」のあらすじ
舞台は大阪の下町。主人公の幸江(中谷美紀)は幼いころから不幸続きの人生を歩んでいた。中学生のころには父親が銀行強盗で逮捕され独りぼっち、大人になった今では元ヤクザの内縁の夫イサオ(阿部寛)にちゃぶ台をひっくり返される日々。
さらにイサオはまともに仕事もせず、酒とギャンブルに明け暮れるだけ。幸江が近所の中華料理屋で働いて何とか生活していた。それでも、ひたすらイサオに尽くす幸江の健気さに、2人の隣人である小春(カルーセル麻紀)は胸を痛め、何かと世話を焼いていた。
幸江の働く中華料理屋の主人(遠藤憲一)は秘かに幸江に思いを寄せており、プロポーズするが幸江には断られてしまう
ある日、幸江の中学時代に逮捕された父親の家康(西田敏行)が出所して、突然幸江の前に現れる。運悪く鉢合わせる家康とイサオ。二人は取っ組み合いのけんかを始めてしまう。そこで幸江が2人に叫ぶ。「赤ちゃんができたの!」
そのころイサオは、暴力団の組員に復帰するという誘いを組長(竜雷太)から受けていた。父親から一流のヤクザの血を受け継ぐイサオは一人で悩みを抱え、失踪してしまう。それでもイサオの子供を産みたいと、赤ん坊を身ごもった体で必死に働き続ける幸江。そんな中、幸江は仕事中に歩道橋から誤って転落してしまい、救急車で病院へ運ばれてしまう。
病院のベッドで昏睡状態の幸江は過去の思い出を回想する。貧乏で馬鹿にされ続けた幼い日。父が逮捕されたことを聞いても、唯一の友人としてそばにいてくれた同級生の熊本さん。薬に溺れながら娼婦として身を売り生きていた若き日々。そこでチンピラ時代のイサオと知りあい、ぼろぼろの自分を助けてくれたこと。
イサオが自らの意思で組長に盃を返し、自分と一緒になってくれたこと。そして、二人で海に行き誓い合った。「また来ましょうね。」
幸江の意識が戻り目を覚ました時、目の前にはイサオがいた。「三人で、海へ行こう。」イサオの言葉に、幸江はさめざめと涙を流す。その後、海には幸せそうな夫婦とかわいい赤ん坊の姿があった。幸江はようやく本当の意味での幸せをつかんだのかもしれない…
「自虐の詩」の口コミ・感想
原作を読んで大変感動しましたので、映画も楽しみにしてました!キャストも良い!演技も良い!話題性だけで映画化された作品を観るたびに思いますが、ただ一点、中谷美紀の演技力のすばらしさだけは本当に認めています。
なんとも言えない空気感とシュールさ。バカバカしいのにラストではちょっと涙ぐんでしまう引き込み方が見どころです。正直見る前は舐めてました。みなさんも一度「舐めた」状態で観てみてください。この作品に欠かせないちゃぶ台シーンの中谷さんの表情は必見!
よくある夫婦の現実的で本質的な姿を見たような気がした。阿部寛は完全チンピラだし中谷美紀も普通の一般人になりきってた。さすが役者だなあと感心した。ちゃぶ台をひっくり返す場面は、昔自分の父親がそうだったので、正直笑う気分にはなれなかった…平凡な夫婦の姿をよく捉えた映画だと思う。
幸せになりたいと夢見るだけの乙女…で終わらせるのではなく、徹底的に不幸な女に仕立て上げ、最後には幸不幸をどうこう言わない悟りを開いた状態に着地させたあたり、かなり好感が持てました。
発売当時にも見ましたが、5年ぶりに改めて見てみました。男女で評価が異なる映画かなと感じました。50代男性の私には何故か懐かしいな感覚があり、彼が彼女に対して感じる深い思いも分かる気がします。
声高に人前で「愛してる!」を連呼する青春恋愛映画で溢れる中、コメディと称しながらも人生観や愛情のツボを抑えたこういう作品は大いに有りだと思います。辛い事なんて無いほうが良いのですが、一生懸命生きてきた!という人物の人生を見せる描き方は私にとっては引き込まれずにはいられませんでした。
ヒューマンコメディ映画は、独特の世界観があり、日常の延長のような感覚を同時に味わえる所がこのジャンルの良い所であると思います。いろんな世界があるのだなと思わせる作品となっておりますので、宜しければ是非一度ご覧ください。

